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大阪地方裁判所 昭和59年(行ウ)94号 判決

大阪市阿倍野区昭和町四丁目九番一〇号

原告

水口孝

右訴訟代理人弁護士

香川公一

蒲田豊彦

斎藤浩

関戸一考

岩田研二郎

乕田喜代隆

大阪市阿倍野区三明町二丁目一〇番二九号

被告

阿倍野税務署長

土居純一

右指定代理人

佐山雅彦

足立孝和

山田勝嘉

河中恒雄

西岡達雄

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

一  当事者

1  原告

被告が昭和五七年一二月一四日付で原告に対してした昭和五五年分以降の所得税の青色申告承認の取消す、訴訟費用は被告の負担とする、との判決

2  被告

主文と同旨の判決

二  原告の請求原因

1  原告は畳加工業を営む であるが、昭和五五年分以降の所得税につき同年三月一三日所得税の青色申告承認申請書を提出し、同年一二月三一日所得税法(以下「法」という。)一四七条によりその承認があつたものとみなされ、同年分以降の所得税についての確定申告を青色の申告書により提出していたところ、被告は昭和五七年一二月一四日付で原告に対し、昭和五五年分以降の所得税の青色申告承認を取消す旨の処分(以下「本件処分」という。)をした。

これに対し、原告が法定期間内に異議申立てをしたところ、被告はこれを棄却したため、原告が更に法定期間内に審査請求をしたところ、国税不服審判所長は審査請求を棄却する旨の裁決をし、右裁決書謄本は昭和五九年六月六日原告に送達された。

2  しかしながら、本件処分の理由は、被告の調査担当者が昭和五七年四月二三日から同年六月二一日までの間一三回にわたり原告に対し帳簿書類の提示を求めたにもかかわらず、原告がいずれもこれに応じなかつたというものであるが、かかる事実はなく、仮に右事実があつたとしても右事実のみでは法一五〇条一項一号の取消事由に該当しないから、本件処分は違法である。さらに、本件処分は、阿倍野民主商工会の組織破壊若しくは会員に対するいやがらせの意図のもとになされたもので、通常は国税当局が青色奨励策を取り、形式的には取消事由に該当する場合でもできるだけ取消処分をしない方針をとつている実態とかけはなれたものになつており、比例原則に反する裁量権の濫用があるから、違法である。

3  よつて、本件処分の取消を求める。

二  請求原因に対する被告の認否及び主張

1  請求原因1の事実は認めるが、同2の事実は争う。

2  被告は、原告の昭和五四年分ないし昭和五六年分の所得税調査のため、昭和五七年四月二三日から一〇数回にわたり部下職員の山名正道(以下「山名」という。)を原告事業所(以下「原告方」という。)へ赴かせたが、その経緯は次のとおりである。

(一)  昭和五七年四月二三日、山名は原告方に赴き、原告に対し昭和五四年分ないし昭和五六年分の所得税調査に来た旨を告げ、青色申告にかかる帳簿書類の提示を求めたところ、原告が忙しいから後日来てほしいと答えたので、やむをえず同月二八日に臨場するから帳簿書類を用意しておくよう告げて帰庁した。

(二)  その後原告から調査日を同月三〇日にしてほしいとの連絡があつたので、同日山名が原告方に赴いたところ、原告が調査に関係のない第三者である篠木一(以下「篠木」という。)を同席させていたため 原告に対し篠木の退去と帳簿書類の提示を求めたが、原告は篠木の立会がなければ調査に応じられないなどと申し立て、右要求に応じなかつた。なお、その際篠木が厚さ約三センチメートルのB5版程度の大きさの中封筒を持ち上げて、これを見たくないのかと述べたことはあつたが、右封筒の中身の提示はなく、また帳簿書類はその場に置かれていなかつた。

そこで、山名は調査のできる状態ではないと判断し、同年五月六日に再度臨場する旨の連絡せんを原告に手渡して帰庁した。

(三)  同年五月六日山名が原告方に赴いたところ、篠木が同席していたので、原告に対し篠木の退去と帳簿書類の提示を求めたが、原告は篠木が終始調査に立ち会うのでなければ調査には応じられないとの態度であつた。そこで、山名は帳簿書類を預かつて検討したいと申し出たが、原告は立会人が同席したうえでなければ帳簿書類は提示できないと述べ、右申出にも応じなかつた。

そのため、山名はこのような態度では調査拒否に当たり、青色申告承認を取消すことになる旨注意したが、それでも原告は帳簿書類を提示しようとしなかつたので、山名は調査の進展は望めないと判断して帰庁した。

(四)  同月一七日午前山名が原告方に赴いたところ、篠木が同席していたので、原告に対し篠木の退去と帳簿書類の提示を求めたが、原告は全くこれに応じなかつた。そこで、山名は一旦原告方を辞去し、同日午後再び原告方に赴き、原告に対し帳簿書類を提示するよう繰り返し説得した結果、原告はもし仕事があいていれば翌日帳簿書類を税務署に持参する旨約した。

(五)  同月一八日、原告が篠木を同行して阿倍野税務署を訪れたので、山名は原告のみをカウンター内に入れ、上司である統括国税調査官(以下「統括官」という。)とともに応接し、調査を始めようとしたが、原告は篠木の立会がなければ帳簿書類は提示できない旨申立て、持参した前同様の中封筒の中身も提示せず、結局何ら帳簿書類を提示せずに退署した。

(六)  同月一九日及び翌二〇日の両日、山名は原告方に赴き、原告に対し帳簿書類の提示を求めたが、原告は立会人の同席がなければ帳簿書類は提示できないとの態度を固持した。

(七)  同月二四日午前一〇時ころ山名が原告方に赴いたところ、篠木のみならず外二名が同席していたので、原告に対し篠木らの退去と帳簿書類の提示を求めたが、原告は篠木らの立会がなければ帳簿書類は提示できない旨申し立てた。さらに同日午前一一時三〇分ころ山名が再度原告方を訪れ、帳簿書類の提示を繰り返し求めたが、原告は帳簿書類を一切提示しなかつた。

(八)  同月三一日、山名が原告方に赴くと、篠木が同席していたので、原告に対し篠木の退去と帳簿書類の提示を求めたところ、原告は篠木の退去には応じなかつたものの、大学ノート一冊を提示した。そこで、山名は調査の進展を図るため篠木を無視して調査を進めざるをえないと判断し、右ノートを手に取り、一、二枚パラパラとめくつた後、原告に対し誰の字であるか質問したところ、原告は妻が記帳している旨答えた。山名が右ノートの内容を検討しようとしたところ、新たな第三者一名が調査に立ち会おうとしたので、山名はこのような状態では原告に対する質問調査ができないと判断して帰庁した。

(九)  同年六月七日、山名が原告方に赴いたところ、篠木が同席していたので、原告に対し篠木の退去と帳簿書類の提示を求めたが、原告はこれに応じなかつた。

(一〇)  以上のような状況から、被告は山名らをして、同月八日に同月一二日を期限とし、また同月一五日に同月一七日を期限として、各期限とし、また同月一五日に同月一七日を期限として、各期限までに山名に対し帳簿書類を提示しなければ青色申告承認の取消をせざるをえない旨の各注意書を原告又はその妻に交付させた。さらに、同月一四日には山名及び統括官が原告方に赴き、一二日の期限までに帳簿書類の提示がなかつたので青色申告承認を取消す予定であるが、もし提示するのであれば同日中に連絡するよう告げ、また同月一七日には統括官が電話で原告に対し、税理士以外の第三者が調査に立会うことは認められない旨及び帳簿書類の提示がなければその備付けがないものと判断する旨を伝えた。

これに対し、原告は同月一二日に民商事務局員その他多数を同行して阿倍野税務署を訪れ、同月一四日及び一八日には電話により、いずれも帳簿書類の提示日を同月二一日にされたい旨強く申入れたので、被告はこれを受け入れ、原告に対しこの指定日を過ぎても帳簿書類の提示がない場合は青色申告承認を取消す旨を伝えた。

(一一)  そこで、同月二一日山名が原告方に赴いたところ、原告は機械の上に手形、小切手の半片様のものを並べていたが、またも篠木を同席させていたので、山名が原告に対し篠木の退去を求めたが、原告は篠木の立会を強要するばかりで、右要求に応じなかつた。そのため、山名はこのような状態では調査ができないと判断して帰庁した。

(一二)  以上のとおり、山名が再三にわたり原告に対し帳簿書類を提示するよう説得したにもかかわらず、原告は山名の調査に協力せず、帳簿書類を山名が閲覧しうる状態におかなかつたため、被告は、原告の右行為は法一五一条一項一号に該当するものと認め、本件処分を行つた。

3  青色申告制度は、誠実かつ信頼性のある帳簿書類の記録及び保存を約束した納税者に対して、その帳簿書類に基づき所得額を正しく算定して申告納税することを期待し、税法上各種の特典を付与するものであつて、このため、青色申告の承認を受けた納税者は、右特典を受ける前提として正しい帳簿書類の備付け、記録、保存(以下「備付け等」という。)をすべき義務を負い(法一四八条)、右納税者が右義務を履行しない場合は、右承認は取消されるものとされている(法一五〇条一項一号)。

そして、法一五〇条一項一号にいう帳簿書類の備付け等とは、税務職員が必要に応じていつでも閲覧しうる状態にしておくことを意味するものと解されており、青色申告者に課せられている帳簿書類の備付け等の義務とは、以上の青色申告制度の趣旨に照らし、単に帳簿書類を物理的に備付けておけば足りるものではなく、これに対する税務調査において税務職員がこれを閲覧、検討し、帳簿書類が青色申告の基礎としての適格性を有するものか否か、帳簿書類に基づき所得額を正しく算定して納税申告をしているかどうかを判断しうる状態におくことを当然の前提として包含しているものであり、したがつて、帳簿書類を税務職員に提示しないということは、法律的な評価においてはその備付け等が欠如していることを意味するものにほかならない。そのように解さなければ、帳簿書類の備付け等が大蔵省令の定めるところに従つているかどうかなど法一五〇条一項の要件を確認する手段がないばかりか、法一五五条にいう「帳簿書類の調査」や「同調査に基づく更正処分」もできないこととなり、帳簿書類の提示をしないなどの背信的行為を行つた青色申告者のみが利益を得るという極めて不当な結果となり、青色申告制度の適正な運用が不可能となるのである。

これを本件についてみるに、原告は前記のとおり、被告の部下職員が一〇数回にわたり原告方に赴き、その都度帳簿書類の提示を求めたにもかかわらず、調査に関係のない第三者の立 を認めなければ帳簿書類を提示しないとの態度に終始し、結局帳簿書類を提示せず、右職員の帳簿書類の閲覧、検討を不可能ならしめ、そのため被告は原告の帳簿書類の備付け等が大蔵省令の定めるところに従つて正しく行われていることを確認することができなかつたのであるから、かかる原告の行為が法一五〇条一項一号に該当することは明らかである。よつて、本件処分は適法である。

三  被告の主帳に対する原告の認否及び反論

1  被告の主張2の事実については、(一)のうち昭和五七年四月二三日山名が原告方を訪れ、調査に来た旨を告げ、同月二八日に再度臨場する旨の連絡せんを手渡して帰つたこと、(二)及び(三)のうち、同月三〇日及び同年五月六日に山名が原告方を訪れたところ篠木が同席していたこと、(四)のうち同月一七日午前に山名が原告方を訪れたところ篠木が同席していたこと、同日午後に再び山名が原告方を訪れ、原告はもし仕事があいていれば翌日帳簿書類を税務署に持参する旨約したこと、(五)のうち同月一八日に原告が篠木を同行して阿倍野税務署を訪れたこと、(六)のうち同月一九、二〇日の両日に山名が原告方を訪れたこと、(七)のうち同月二四日午前一〇時ころ山名が原告方を訪れたところ篠木外二名が同席していたこと、同日午前一一時三〇分ころ再び山名が原告方を訪れたこと、(八)のうち同月三一日に山名が原告方を訪れたところ篠木が同席していたこと、山名は一冊の帳簿書類を手に取り、原告に対し誰の字であるか尋ね、原告は妻が記帳している旨答えたこと、検査中に新たな第三 が原告方を訪れたこと、(九)のうち同年六月七日山名が原告方を訪れたところ篠木が同席していたこと、(一〇)のうち同月八日、一五日に原告又はその妻が注意書と題する書面を各受領したこと、同月一四日に山名と統括官が原告方を訪れたこと、同月一七日統括官が原告に電話したこと、原告が民商事務局員らと阿倍野税務署を訪れたこと(但し、一一日である。)、(一一)のうち同月二一日に山名が原告方を訪れたところ、篠木が同席していたことはいずれも認めるが、その余の事実はいずれも争う。

同3の主張は争う。

2  被告の調査の経緯は次のとおりである。

(一)  昭和五七年四月二三日、被告の部下職員である山名は何ら事前に連絡することなく調査と称して原告方を訪れたが、原告は仕事中であり、帳簿を記帳している妻も不在であつたので、同月三〇日に会うことを約した。

(二)  同月三〇日、原告は帳簿書類(売上帳一冊、買掛帳一冊、金銭出納帳二冊、銀行帳一冊等)を準備したうえ、その記帳について助言や補助をしてもらつている篠木に説明のため立ち会つてもらい、山名と面接したところ、山名は提示した帳簿書類を一切見ようとせず、税理士資格のない者の同席は許さない等と述べて篠木の退席を要求し、このままでは青色申告承認を取消す旨述べて脅迫した。原告は、昭和五四年の調査の際には同席が認められた旨指摘するなどして、帳簿書類を見るよう求めたが、山名はこれに応じなかつた。なお、この間に篠木の立会のもとで、山名は原告の仕入先等につき質問し、原告もこれに答えた。

(三)  同年五月六日、山名が調査のため原告方を訪れたので、原告は篠木の立会のもとで、前記帳簿書類を提示した。しかし、山名は前回と同様に篠木の退席を求めるだけでなく、このままいくと青色申告承認を取消す旨述べて脅迫した。原告は、昭和五四年の税理士法改正審議の際の国会での質疑応答を引用して、税理士以外の立会について黙つていれば調査の妨げにはならないし、単なる書類の説明は説理士業務に当たらない旨指摘したが、山名は提示された帳簿書類を一切見なかつた。なお、この間に篠木立会のもとで、山名は原告の土地の購入につき質問し、原告もこれに応答した。

(四)  その後も、山名は同月一七日(二回)、一九日、二〇日、二五日(二回)、三一日、同年六月七日、二一日と原告方を訪れたので、原告は篠木の立会のもとで面接し、その都度前記帳簿書類を提示したが、山名は見ようとしなかつた。

そのうえ、五月一七日には原告が調査のため午前中は仕事を止めて帳簿書類を提示したのに、山名はこれを検査せずに辞去しておきながら、同日午後原告が仕事をしているときに予告なく訪れたものであり、同月一九日にも山名は、原告が仕事の都合から指定した面接の時間とは別の時間に訪れたうえ、右両日とも原告の店の前で大声で叫んだり、自転車を店の出入口を妨害する形で停めたりした。

また、同月一九日に、山名は原告の大阪銀行の当座預金の口座につき、架空名義で行つていると決めつけて、原告の説明を聞こうとせず、翌二〇日に、原告が資料を見せて右口座は通称を使つていると説明したにもかかわらず、山名は聞く態度を示さなかつた。

(五)  同月一八日、原告は前日の調査の際に山名から翌日帳簿書類を阿倍野税務署へ持参するよう指示されていたので、篠木を同行して同税務署に赴き、統括官及び山名に対し、持参した前記帳簿書類を提示し、記帳補助者である篠木が説明しなければ分からない旨述べ、篠木も昭和五六年度分集計表を示して説明しようとしたが、山名が調査に着手しようとしないので、篠木がそれなら私は黙つているからと述べたが、統括官らは一切説明をうけつけない態度をとつたので、右集計表を渡して退署した。

(六)  同月三一日、調査のため原告方を訪れた山名は、同席していた篠木に対し仕方がないので居てもよいから黙つているように告げ、帳簿書類の検査をすることになつた。そこで、原告が紙袋から前記帳簿書類五冊を出して山名に提示したところ、山名はそのうち金銭出納帳一冊を検査したもので、これを見ながら原告に誰の字であるか尋ね、原告が妻の字であると答えたのである。

(七)  ところが、同年六月八日に被告から注意書と題する書面が交付されたので、原告は、何回にもわたり時間をとつて帳簿書類を提示し、記帳補助者である篠木とともに帳簿書類や集計表の説明をしようとしているにかかわらず、帳簿書類の検査を拒否する山名の不当な態度を指摘するため、同月一一日民商事務局員ら五名とともに阿倍野税務署を訪れ、文書をもつて改めて帳簿書類を検査してくれるよう申入れたのである。なお、山名は、その後も同月一五日付注意書を受け取るよう原告の妻に強要し、無理矢理に受領印を押させるという脅迫的言動を行つた。

そして、同月二一日山名が原告方を訪れたので、原告は篠木立会のもとで、前記帳簿書類五冊の外領収証の控綴り等一切の帳簿書類を縫着機の上に並べて提示したが、山名はこれを見ようとしなかつた。

3  被告は、本件処分の理由として、原告が山名の調査に協力せず、帳簿書類を山名が閲覧しうる状態におかなかつた旨主張するが、かかる事実はなかつた。すなわち前記のとおり、原告は適式に帳簿書類を記帳、保存し、備付けており(なお、国税不服審判所長の裁決書においても、昭和五五、五六年分の売上帳、買掛帳、預金出納帳、現金出納帳及び領収書等の存在が認められている。)、これらを山名に提示し続けていたものであつて、特に山名は昭和五七年五月三一日及び同年六月二一日には全帳簿書類を現認しているし、五月三一日にはそのうち金銭出納帳を検査しているうえ、同年四月三〇日、五月六日、二〇日、三一日には篠木立会のもとで原告に対し質問検査権を行使し、原告も誠実にこれに答えている。しかるに、山名は、立ち会つていた記帳補助者の篠木が民商事務局員であることを理由に、立会人がいる限り調査ができないとして、一部を除いて帳簿書類の検査だけをせず、調査を放棄したものである。このような場合には、原告が帳簿書類の調査にいわれなく応じなかつたと評価することはできず、法一五〇条一項一号の備付け等がないとして青色申告の承認を取消すことはできないというべきである。

なお、民商事務局員の立会については、これを認めるか否かは現場担当者の裁量に任されているが、記帳補助者である場合はこれを認めるべきであつて(記帳補助者が民商事務局員でない場合は常に立会が認められているのであり、民商事務局員であるからその立会を認めないという差別的取扱は憲法一四条、二一条に反し、許されない。)、現場担当者が正当な理由もないのに、その立会を理由に提示された帳簿書類を検査せず、それを調査にいわれなく応じなかつたとみなして帳簿書類の不提示と結びつけることは、極めて濫用的であり、許されない。

4  また、被告は法一五〇条一項一号にいう帳簿書類の備付け等の意義について、税務署員が必要に応じていつでも閲覧しうる状態にしておくことであると解し、帳簿書類を提示しないことは備付け等が欠如しているという評価を受けるものと主張する。しかしながら、被告の右のような解釈は拡張・類推解釈の典型であるところ、国家と国民の課税関係は一般権力関係であり、最も強度に法治主義の原則が適用される領域であつて、課税処分自体も青色申告承認の取消処分も侵害的行政行為であるから、これにつき安易な拡張・類推解釈は許されない。青色申告承認の取消事由に提示拒否が明文で掲げられていない以上、被告のごとき解釈は誤りである。

また、本件質問検査権の行使は、日常的な行政調査に属するものであるが、この調査と青色申告承認の取消のための調査とは全く異なるものである。そして、青色申告承認の取消処分は、義務違反を理由に一旦付与された法益を剥奪する制裁的政処分であるから、それに至る調査は公正な手続によらねばならず、これを慎重になしつつ、その過程に弁明や防御の機会が十分に与えられなければならない。

そして、青色申告承認の取消処分に至る調査に際しては、第三者の立会があるか否かにかかわらず、現実に帳簿書類が備付け、記録、保存されているかどうかの実体的発見・確認が不可欠であり、被告主張のような備付けがないとの評価は許されないというべきである。

五  証拠

本件記録中の書証目録、証人等目録に記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

一  請求原因1の事実は当事者間に争いがない。

二  昭和五七年四月二三日山名が原告の昭和五四年分ないし昭和五六年分の所得税の調査のため原告方を訪れ、調査に来た旨を告げ、同月二八日に再度臨場する旨の連絡せんを手渡して帰つたこと、同月三〇日及び同年五月六日に山名が原告方を訪れたところ篠木が同席していたこと、同月一七日午前に山名が原告方を訪れたところ篠木が同席しており、同日午後再び山名が原告方を訪れ、原告がもし仕事があいていれば翌日帳簿書類を税務署に持参する旨約したこと、同月一八日原告が篠木を同行して阿倍野税務署を訪れたこと、同月一九、二〇日の両日に山名が原告方を訪れたこと、同月二四日午前一〇時ころ山名が原告方を訪れたところ篠木外二名が同席していたこと、同日午前一一時三〇分ころ再び山名が原告方を訪れたこと、同月三一日山名が原告方を訪れたところ篠木が同席していたこと、山名は一冊の帳簿書類を手に取り、原告に対し誰の字であるか尋ね、原告が妻が記帳している旨答えたこと、検査中に新たな第三者が原告方を訪れたこと、同年六月七日山名が原告方を訪れたところ篠木が同席していたこと、同月八日、一五日に原告又はその妻が被告から注意書と題する書面を各受領したこと、同月一四日に山名と統括官が原告方を訪れたこと、同月一七日に統括官が原告に電話したこと、そのころ原告が民商事務局員らと阿倍野税務署を訪れたこと、同月二一日に山名が原告方を訪れたところ篠木が同席していたことは、いずれも当事者間に争いがなく、右事実に、成立に争いのない甲第六、七号証、第一〇ないし第一三号証、第一四号証の一、二、第一五ないし第一八号証、第一九号証の一、二、第二〇号証、第二二号証、乙第一、二号証、原告本人尋問の結果により成立を認めうる甲第八、九号証、第二一号証、第三〇号証の一ないし三、原告本人尋問の結果により原告主張のとおりの写真であると認められる検甲第一ないし第八号証、証人山名正道の証言、原告本人尋問の結果(但し、後記信用しない部分を除く。)並びに弁論の全趣旨を総合すると、以下の事実が認められる。

1  昭和五七年四月二三日、被告は部下職員の山名を畳加工業を営む原告の昭和五四年分ないし昭和五六年分の所得税の調査のため、原告方に赴かせた。山名は、原告に対し右調査に来た旨を告げ、青色申告にかかる帳簿書類の提示を求めたところ、原告は仕事中であり忙しいから日を改めてほしいと述べたので、山名は、原告の取引先及び取引銀行につき二、三質問をしたのみで、同月二八日午後二時に臨場するから帳簿書類を用意しておくよう記載した連絡せんを原告に手渡して帰庁した。

2  その後、原告から調査日を同月三〇日にしてほしいとの連絡があつたので、同日山名が原告方に赴いたところ、その場に篠木が同席していた。篠木は、阿倍野民主商工会の事務局員で、原告のため年一回原告の妻が記帳した帳簿に基づき記帳額を各月毎に各料目に区分して集計した集計表及びこれをまとめた試算表を作成するなどしていた者であり、原告が調査の立会を事前に依頼したものであつた。しかし、山名は篠木が原告の所得税の調査に関係のない第三者であると判断したため、原告に対し篠木を退去させるよう要請するとともに帳簿書類の提示を求めた。ところが、原告は、篠木に帳簿の整理をしてもらつているから同人の立会のもとで帳簿書類を調査してほしいと述べたので、山名は、守秘義務違反及び税理士法違反のおそれがあるため税理士以外の者の立会は認められない旨述べて篠木を退去させるよう説得した。しかし、原告は昭和五四年の調査の際には篠木の立会が認められたことを挙げ、同人を退去させようとしなかつた。そこで、山名は調査のできる状態ではないと判断し、同年五月六日に再度臨場する旨記載した連絡せんを原告に手渡して帰庁した。

なお、その際原告は当時存在した帳簿書類を紙袋に入れてその場に置いていたもので、篠木が右紙袋を手に取つて、山名に対しこれを見たくないのかと声を掛けたことはあつたが、その中身を示さなかつたので、山名はその中身を現認しなかつた。

3  同月六日山名が原告方に赴いたところ、またも篠木が同席していたため、原告に対し篠木の退去と帳簿書類の提示を求めたが、原告は昭和五四年の税理士法改正審議の際の国会での質疑応答を記載した書面を示し、黙つていればよい等と申立てて、篠木を退去させず、同人の立会のもとで帳簿書類を検査してほしいとの態度を変えなかつた。そこで、山名はそれでは帳簿書類を預かつて検討したいと申し出たが、原告は立会人が同席のうえでなければ帳簿書類を見せられないと答え、これを拒否した。そのため、山名はこういうことでは調査拒否に当たり、青色申告承認を取消すことになる旨注意したが、原告は態度を変えなかつたので、山名はこれ以上調査の進展は望めないと判断して帰庁した。

なお、この間に、山名が原告に対し土地の購入は借入れによるものかどうか質問し、原告もこれに応答したことはあつたが、それ以外は右のとおり篠木の立会の問題に終始したため、原告はその場に置いてあつた帳簿書類を入れた紙袋の中身を山名に示さなかつた。

4  同月一七日午前山名が原告方に赴いたところ、やはり篠木が同席していたので、原告に対し篠木の退去と帳簿書類の提示を求めた。その際原告は作業場奥の部屋に設置してあつたテープレコーダーを作動させようとしたが、山名の強い要請に応じて、その作動を中止した。しかし、原告は篠木を退去させてほしいとの山名の要請には全く応じなかつたので、山名は一旦原告方を辞去した。原告は前同様に帳簿書類を入れた紙袋をその場に置いていたが、その中身を山名に示すことはしなかつた。

山名は、調査を進展させるため同日午後であれば原告が一人であろうと考え、同日午後再び原告事業所に赴き、原告に対し帳簿書類を提示するよう説得したところ、原告はもし仕事があいていれば翌日帳簿書類を阿倍野税務署に持参する旨約した。

5  同月一八日、原告は篠木を同行し、帳簿書類を入れた紙袋を持参して阿倍野税務署を訪れた。そこで、山名は原告のみをカウンター内に入れ、統括官とともに帳簿書類の提示を求めた。しかし、原告は同行してきた篠木の同席を要求したので、山名が原告の分かつていることから先に答えてほしいと述べて調査に応じるよう説得したが、原告は篠木には黙つていてもらうから同席させてほしいと要求するなど篠木の立会のもとでなければ調査に応じないとの態度に終始し、結局持参していた紙袋の中身も提示しないまま退署した。なお、篠木は退署する際、これ置いとくわと言つて持参していた昭和五六年分の集計表・試算表をカウンターの上に置いていつた。

6  同月一九日及び翌二〇日にも山名が原告方に赴き、原告に対し帳簿書類の提示を求めたが、原告は篠木の立会がなければ帳簿書類は提示できないとの態度を固持したので、山名は原告の大阪銀行の当座預金口座の名義に関し問答したのみで、帳簿書類の提示を受けないまま帰庁した。

7  同月二四日午前一〇時ころ山名が原告方に赴いたところ、篠木外二名が同席していたので、原告に対し篠木らの退去及び帳簿書類の提示を求めたが、原告は篠木らの立会がなければ帳簿書類は提示できない旨申し立てた。そこで、山名は、一時間後に来るから篠木らを退去させておくよう告げて、一旦辞去し、同日午前一一時三〇分ころ再度原告方を訪れた。しかるに、やはり篠木が同席していたので、山名は原告に対し篠木の退去とともに帳簿書類の提示を繰り返し求めたが、原告は篠木を退去させず、その場に紙袋に入れて置いていた帳簿書類も提示しなかつたので、山名は調査を進めることができなかつた。

8  同月三一日、山名が原告方に赴いたところ、篠木が同席していたので、原告に対し篠木の退去と帳簿書類の提示を求めたが、原告は篠木の退去には応じなかつた。そこで、山名は調査の進展を図るため篠木を無視して調査を進めざるをえないと判断し、篠木に対し横の方に寄つているよう告げると、篠木は部屋の端に行き外を向いていた。そこで、山名が原告に対し帳簿書類を提示するよう求めると、原告は紙袋から古びた大学ノート一冊を取り出して提示した。山名が右ノートを手に取り、パラパラとめくりながら原告に対し誰の字であるか質問したところ、原告は妻が記帳している旨答えた。さらに山名が右ノートの内容を検討しようとしたところ、民主商工会の地区役員である前田某が入つてきた。山名は一応原告の客が来たものと考え、原告に対し仕事を先に済ませて客に帰つてもらうよう告げたが、原告は調査を続けるよう申し立て、客と思われた前田も機械の上に座り込んでここで見ているから先に調査をするよう申し立てた。このため、山名は新たに調査に関係のない第三者が調査に立ち会おうとしていると考えざるをえず、このような状態では原告に対する調査ができないと判断し、原告方を辞去した。

9  同年六月七日、山名が原告方に赴いたところ、篠木が同席していたので、原告に対し篠木の退去と帳簿書類の提示を求めたが、原告はこれに応じなかつた。

10  そこで、山名は、翌八日に原告方に赴き、同月一二日までに帳簿書類を持参のうえ提示するよう求め、同日までに提示がないときは青色申告承認を取消す旨記載した注意書を原告に手渡した。これに対し、原告は同月一一日数人の者を同行して阿倍野税務署総務課を訪れ、同月二一日に帳簿書類を提示する旨記載した申入書を持参したのみで、右期限の一二日までに右提示をしなかつた。そこで、同月一四日山名は統括官とともに原告方を訪れ、一二日までに帳簿書類の提示がなかつたので、青色申告の承認を取消す予定であるが、もし提示するのであれば本日中に連絡するよう告げたところ、後刻に原告がやはり二一日まで待つてほしい旨電話で申し入れてきた。そのため翌一五日、山名は改めて同月一七日を期限とし、右期限までに帳簿書類を提示しなければ青色申告承認の取消をせざるをえない旨記載した注意書を原告方に持参し、これを原告の妻に交付した。また右期限の一七日には統括官が電話で原告に対し、税理士以外の第三者が調査に立ち会うことは認められない、帳簿書類の提示がなければその備付けがないものと判断する旨を伝えた。これに対し、同月一八日に原告から電話で帳簿書類の提示を二一日にしてほしいと強く申し入れてきたので、山名は統括官と相談のうえこれを受け入れることとし、原告に対し右提示期限を二一日まで延期するが、この日を過ぎても帳簿書類の提示がない場合は青色申告承認を取消す旨を伝えた。

11  そして同月二一日、山名が原告方に赴いたところ、原告は作業場にある機械の上に手形、小切手の半片様のものなどの帳簿書類を並べていたが、やはり篠木を同席させていた。そこで、山名が原告に対し同人の退去させるよう求めたが、原告は同人の立会を強要し、これに応じなかつた。そのため、山名はこのような状態では調査ができないと判断し、原告方を辞去した。

以上の事実が認められる。原告は、右調査の経緯につき以上の認定と異なる事実を主帳し、甲第一二、第一六号証の各記載及び原告本人尋問の結果中には右主張に沿う部分があるが、前掲各証拠に照らしいずれも信用できず、原告の右主張は採用できない(なお、原告本人は当時存在した帳簿書類は甲第一ないし第五号証の五冊であつた旨供述するが、前掲甲第一二、第一六号証及び証人山名正道の証言によれば原告は当時帳簿書類としていずれも大学ノートを使用しており、甲第一、二号証のような市販の金銭出納帳を使用していなかつたことが窺われるから、原告本人の右供述は信用できない。)。

そして、以上の事実によれば、原告は、被告の部下職員の山名が一〇数回にわたり原告方に赴き、その都度帳簿書類の提示を求めたにもかかわらず、調査に関係のない第三者の立会のうえでなければ帳簿書類を提示しないとの態度に終始し、その提示を拒否したものというべきである。

これに対し、原告は、右調査の際原告はその都度帳簿書類を提示したが、山名が記帳補助者である篠木の立会を拒否し、これを理由に一方的に調査を放棄したものである旨主張する。しかしながら、税務職員が帳簿書類の検査をするにあたり、その帳簿書類の作成に直接関与した者でない第三者の立会を認めるか否かは、調査の必要性と相手方の私的利益とを比較考量して、社会通念上相当の限度にとどまる限り当該職員の合理的な選択に委ねられているものというべきところ、前記認定事実によれば、原告の帳簿書類はその妻が記帳しており、篠木は単に年一回右記帳額を各勘定科目に区分して集計表・試算表を作成していたにすぎないから、篠木は右記帳に直接関与した者とはいえず、これを記帳補助者とする原告の主張は失当であつて、山名において篠木を原告の調査に関係のない第三者であるとして、原告の取引先たる第三者の営業上の秘密事項にも調査が及ぶおそれがあること、あるいは税理士資格を持たない第三者の立会はその具体的態様いかんによつては税理士法違反となる可能性がないとはいえないことなどの配慮に基づき、篠木の立会を拒否したことは、右合理的選択の範囲を逸脱したものとはいえない。しかるに、原告は篠木の立会が認められなければ帳簿書類は提示できないとの態度に終始したものであるから、いわれなく帳簿書類の提示を拒否したものというべきである。なお、前記認定のように紙袋に入れた帳簿書類を室内に置いたり、これを手に持ってその存在を示したり、右帳簿書類を室内に並べて置いたり、あるいはその内容を一瞥させたりする程度のことでは、調査担当職員の閲覧調査に必要かつ十分な状態においたものとはいえず、これをもつて帳簿書類の提示があつたといえないこというまでもない。したがつて、原告の右主張は失当である。

三  ところで、青色申告制度が設けられた職旨は、申告納税制度のもとで、納税者に対し帳簿書類を備付け、取引を正しく記録し、これを基礎として正確な所得を計算し申告することを奨励することにあり、これを実効あらしめるために、青色申告の承認を受けた者に対し所得の計算につき特別の軽減を与え、あるいは更正手続の上でも特に有利な取扱をするなど税法上種々の特典を与えている反面で、法一四八条一項において大蔵省令で定めるところによりその業務につき帳簿書類を備付けてこれに取引を記録し、かつ、当該帳簿書類を保存することを義務付け、この義務に違反したときは法一五〇条一項一号の規定により青色申告の承認を取消すこととされている。

そして、以上の青色申告制度の趣旨に照らすと、右各規定にいう帳簿書類の備付け等とは、税務職員が必要に応じていつでもこれを閲覧しうる状態にしておくことを意味するものと解され、青色申告者に課せられている帳簿書類の備付け等の義務には、税務署長が法二三四条の規定に基づき帳簿書類の調査を求めた場合にこれに応ずべき義務をも当然に包含すると解するのが相当であり、したがつて、青色申告者が右調査の際帳簿書類の提示を拒否してこれにいわれなく応じない場合は、法一五〇条一項一号に該当するものとして青色申告承認の取消事由になるというべきである。なぜならば、青色申告制度は、申告の基礎となつた納税者の帳簿書類の正しさに対する税務署側の信頼が存在することを前提として成り立つものであり、納税者の提示拒否により当該帳簿書類の不備不正の存否そのものを確認することができない場合にまで税務署長において青色申告承認による特典の享受を認めなければならないとすることは制度の本旨に反するものであるし、青色申告者については帳簿書類の調査に基づく場合に限つて更正をすることができ、推計課税が禁止されていることからみても、青色申告者が帳簿書類の提示を拒否したときは、青色申告承認を取消したうえで、白色申告者として推計により更正をうなしうることを法は当然に予定しているものというべきだからである。

本件についてこれをみるに、原告は前記認定のとおり、被告の部下職員が一〇数回にわたり原告方に赴き、その都度帳簿書類の提示を求めたにもかかわらず、調査に関係のない第三者の立会が認められなければ帳簿書類を提示しないとの態度に終始し、いわれなく帳簿書類の提示を拒否したものであるから、かかる原告の行為は法一五〇条一項一号に該当するというべきである。よつて、被告のなした本件処分には何らの違法も存しない。

原告は、法一五〇条一項一号は帳簿書類の提示拒否を明示的に青色申告承認の取消事由として掲げておらず、税法の解釈については拡張解釈や類推解釈は許されないから、提示拒否を理由に青色申告承認を取消すことは違法である旨主張するが、前記に説示したところは、帳簿書類の提示拒否をもつて帳簿書類の備付け、保存又は記録の違反と並ぶ別個独立の取消事由とするものではないから、原告の右主張は当たらない。

また、原告は、本件処分には公正な事前手続が欠如する旨主張するが、青色申告承認の取消処分をなすにあたり、被処分者に対し事前の告知をし弁明の機会を与えなければならないとの法令上の規定や根拠は存在しないから、原告の右主張も失当である。

四  よつて、本件処分に何ら違法はなく、原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行訴法七条、民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 青木敏行 裁判官 筏津順子 裁判官 松田享)

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